秋も深まり、気温が下がってくるとあったかい鍋が欲しくなります。鍋料理にもたくさん種類がありますが、カニを鍋で食べたいという人は増えてきます。まだ食べたことがないという方は、ぜひ一度食べてみてください。きっとハマります。
ひとくちにカニ鍋とは言っても味付けや食べ方は違うので、食べたいカニ鍋に合わせてカニも選びたいところです。
カニ鍋には、「カニすき」「カニちり」「カニしゃぶ」など種類があります。「カニすき」はいわゆる寄せ鍋にカニが入ったもので、「カニちり」は薄めの出汁で煮込んでポン酢などを付けて食べます。
「カニしゃぶ」は煮込まずにカニの身を出汁でしゃぶしゃぶしていただきます。それぞれに食感や味の違いがあるのが魅力です。またカニすきやカニちりでは旨味が溶け出したあとの〆の雑炊もぜひ食べていただきたいお料理です。
カニすき
もともと江戸時代に農夫たちが農機具の「鋤(すき)」を鉄板代わりにして鶏肉、魚、豆腐などを焼いたり煮たりしながら食べていたことから「すき焼き」と呼ばれることになったといわれています。
肉を濃いめの味付け(割下・わりした)で食べるのがもともとの調理法ですが、カニすきの場合はやや濃い出汁で煮て食べます。
カニすきは、出汁に野菜や豆腐を煮て、最後にカニを入れて火を通して完成です。野菜などに火が通ってから一緒にカニを煮込んでそのまま食べるのでカニを使った寄せ鍋のイメージです。
カニちり
「ちり」のつく料理では「ふぐちり」や「たいちり」が有名ですが、ちり鍋は魚介類と野菜の鍋料理のことです。魚介をお湯につけると身がちりちりと縮むことで「ちり」とついたという説があります。
昆布で出汁をとり、野菜や豆腐を煮込んでいき、最後にカニも脚の殻ごと鍋の中に入れて火を通すのが一般的な作り方です。火が通ったら薬味とポン酢などで食べます。
薬味もいろいろありますが、カニすきが鍋の中で濃いめの出汁を使ってそのまま食べるのに対して、カニちりは薄めの味で煮込んでいき、素材の味に薬味とポン酢などをつけて食べるので、味のバリエーションが楽しめます。
カニしゃぶ
生でも食べられる鮮度の良いお肉を、熱めの出汁に2、3回くぐらせて火を通したものをタレにつけて食べるのが「しゃぶしゃぶ」です。お肉以外にも、ふぐ、タコ、鯛などを使ったしゃぶしゃぶが有名です。
出汁に数回くぐらせて、薬味とポン酢で食べるので、調理方法としては「カニちり」と同じですが、火の通りはお好みで調整できるので、生に近い食感や味も楽しめます。
まずは昆布で出汁をとり、野菜なども入れていない状態でカニのみを入れて数回軽くくぐらせて食べるのがおすすめです。そしてカニの旨味が出てきたところで野菜を入れ、煮立ってきたら野菜を食べ、またカニを入れてカニしゃぶを楽しみます。
鍋料理に合うカニ
三大ガニとして人気の毛ガニですが、身入りの量が少なく鍋向きではないため、あまりおすすめできません。
西日本側ではズワイガニの人気が高く、東日本ではタラバガニの人気があるといわれていますが、東日本でもズワイガニを鍋に使う人が増えているようです。
ズワイガニは味がしっかりしていて、タラバガニよりも味が抜けにくく、半身や脚ごと煮込むことでカニの出汁がとりやすく美味しい鍋が作れます。タラバガニは味が抜けやすいことから煮込みすぎないようにしてください。
鍋にもっとも向いているのは生冷凍のカニですが、生のカニは解凍してから時間が経過すると鮮度が一気に落ちてしまいます。解凍は半解凍ぐらいにしておき、カニの身に芯が少し凍っているぐらいで鍋に入れるのがおすすめです。ボイルガニは解凍する時は7~8割ぐらいに解凍したものをさっと熱い湯にくぐらせます。
カニしゃぶやカニちりでカニ鍋を楽しむならズワイガニが特に人気です。カニしゃぶ用ならむき身のポーションがおすすめですし、カニちり用ならポーションかカニ足の殻が半分残っている半むき身がカニのダシがとれて美味しくなります。
紅ズワイガニ
ところで、もっとお手軽にカニ鍋を楽しみたいという方にオススメなのが紅ズワイガニです。ズワイガニの仲間ですが、深海に住むためカニ身に水分が多く含まれています。甘みのあるカニ身は人気が高く、ズワイガニより美味しいというファンもたくさんいます。そしてなによりお手頃です。
カニ味噌も濃厚ですが、鮮度落ちが早いため生ではなかなか食べることができません。しかし最近では生冷の紅ズワイガニのむき身もでています。カニ身に水分が多いので、煮込には向いていませんが、カニしゃぶなら美味しくいただけます。ぜひお試しください。