木村茶道美術館

木村茶道美術館

松雲山荘は秋の燃え立つ紅葉は特に評判が高く、市外からもたくさんの人で賑わいます。この庭園は柏崎ガス会社を興した飯塚謙三氏が 大正15年より約半世紀にわたり築庭し、1971年柏崎市へ移譲されて一般公開となりました。木村茶道美術館は1984年11月3日、柏崎市が所有する松雲山荘庭園内に故木村寒香庵重義翁の篤志により開館されました。

木村茶道美術館

木村寒香庵は1896年柏崎近郊の旧北条村に生まれ、早稲田大学と米国パルパライソ大学を卒業し、旧制長岡中学校の英語教諭となり、その後34歳で北条村の村長となり、12年間その職を全うしました。
茶道については、英語教諭時代から漆芸家森三樹亭のもとで稽古を始め、その後不白流の清水宗観師について学びました。1972年には柏崎市で江戸千家柏崎支部の旗揚げを行い、1982年まで支部長を務めましたが、茶道教師として多くの弟子を育て、茶道の普及に努めました。

木村茶道美術館 木村茶道美術館

1983年生涯をかけて収集した茶道具などの財産を柏崎市に寄付し、これにより柏崎市は翌年11月3日木村茶道美術館をオープンすることとなりました。この日は木村寒香庵の満88歳米寿の御祝の日でもありました。

木村茶道美術館の最大の特長は、美術館の所蔵する茶道具を実際に使用して、席主が説明を行いながら点前をしてくださることです。通常は展示品としてガラス越しに見るだけの茶道具を実際に手に取り使って楽しめるのは、おそらく国内でも唯一ではないでしょうか。これは収集者の寒香庵翁の「使ってこそお道具であり、使わなければお道具が死んでしまいます。」との考えによるそうです。このお茶席は、とても貴重な体験ができると大人気で、オープンからずっと続けられています。

この美術館は故木村寒香庵翁の無私の行為に感激した人達と翁に教わりお世話になったお弟子さん達のボランティア精神により運営されています。「一服のお茶をいただきながら、美の世界を享受すること」という理念のもとに、幾世代にもわたって引き継がれてきた美術品を生かして、ひとときの別世界に触れることができる貴重な空間です。